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糖尿病研究センター

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糖質制限食による死亡リスク
-メタアナリシスによる検証-

2013年2月4日

独立行政法人 国立国際医療研究センター

米国『PLoS ONE』掲載予定

目的

糖質制限食(低炭水化物食)は短期的な体重減量や動脈硬化リスクファクター改善に有効であることが示唆されているが、長期的なアウトカムや安全性は不明である。我々は低炭水化物食による死亡・心血管疾患リスクの系統的検証を行った。

方法

Medline・EMBASE・ISI Web of Science・Cochrane Library・ClinicalTrials.govによる2012年9月12日までの検索とその該当文献中の引用文献から適切な研究を選択しメタアナリシスを行った。

結果

全9件の論文がメタアナリシスに選択された。総272,216人(女性66%, 総死亡15,981人)の全死亡リスクは低炭水化物食遵守者で有意に高かった(調整リスク比1.31, 95%信頼区間1.07 – 1.59, p=0.007)。総249,272人(女性67%, 心血管疾患死亡3,214人)の心血管疾患死リスク(調整リスク比1.10, 95%信頼区間0.98-1.24, p=0.12)および総220,691人(女性100%, 心血管疾患罹患5,081人)の心血管疾患罹患リスク(調整リスク比0.98, 95%信頼区間0.78-1.24, p=0.87)には低炭水化物食による有意なリスクを認めなかった.また,低糖質・高蛋白質スコアを指標として分析した結果もほぼ同様であった。

結論

低炭水化物食による長期的な効用は認めず、死亡リスクが有意に増加することが示唆された。

研究の背景

近年、減量や糖尿病治療の食事療法として糖質制限食(低炭水化物食)が注目されている。しかし、その効果を示した研究は短期的なものに限定されるため、長期的な効果の究明が必要であった。

本研究の概要・意義

全9件の論文がメタアナリシスに選択された。その結果、低炭水化物食による長期的な効用は認めず、死亡リスクが有意に増加することが示唆された。

低炭水化物食群では高炭水化物食群と比較して総死亡率が有意に高値であった
リスク比 1.31 (1.07 – 1.59); p=0.007.
 糖質制限食による死亡リスク 1

低炭水化物食群では高炭水化物食群と比較して心血管疾患による死亡リスク増加傾向を認めた
リスク比 1.10 (0.98 – 1.24); p=0.12
糖質制限食による死亡リスク 2

低炭水化物食群では高炭水化物食群と比較して心血管疾患発症リスクには有意差を認めなかった
リスク比 0.98 (0.78 – 1.24); p=0.87
糖質制限食による死亡リスク 3

今後の展望

Glycemic Index・Glycemic Load・タンパク質源・日本人・糖尿病患者などの解析を含む長期介入研究による実証の重要性があらためて浮き彫りとなった。

発表雑誌

雑誌名:PLoS ONE
論文名:Low-carbohydrate Diets and All-cause Mortality: A Systematic Review and Meta-analysis of Observational Studies
掲載日:米国東部標準時間1月25日午後5時(日本時間1月26日午前7時)に、先行してオンライン版に掲載予定。

参照URL

http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0055030

本件に関するお問合せ先

国立国際医療研究センター研究所 糖尿病研究部
責任著者役職名 医療連携統括室長長:能登 洋 (のと ひろし)
電話番号:03-3202-7181(内線 4286)
E-mail:nhiroshi@hosp.ncgm.go.jp
〒162-8655 京都新宿区戸山1-21-1

取材に関するお問合せ先

国立国際医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
広報係長:三山 剛史(みやま つよし)
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